その夜は緊張しているせいなのか何なのか、すっごい寝付きが悪かった。 何度も寝返りをうって目を閉じてみては、数分後にはまた目を開けるの繰り返し。 でも、隣で眠ってる久住さんの寝息が聞こえてきていたから、 愛佳も静かに寝なきゃいけないって、眠れるように念じながら目を閉じた。 行ったり来たりする睡魔に流されたり戻されたりしながら、 何度目かに目を覚ましたとき、部屋の空気に違和感を感じてぐるりと寝返りを打った。 布団の上にも中にも久住さんは見当たらない。 「…久住さん…?」 暗い部屋、目を細めて見渡してみても、部屋の中にはおらんようだった。 「…トイレでも行ってるんやろか」 そう考えながら視線を動かすと、壁に掛けたハンガーが目についた。 そこには愛佳のパーカーだけが掛かっていて、久住さんのジャケットはなかった。 「…なんで、外に行くん…?」 いくらいつもよりは早めに寝たといっても、たぶんもうけっこう遅い時間になってるはず。 そう思って枕元のケータイを手に取ってみると、もう午前1時やった。